医療的ケア児を保育園に通わせたいと考えた時、まず最初に準備しておいた方がいいことをお伝えします。
☑本記事の内容
- 保育園を利用するための前提条件が分かる
- 保育の必要性を満たしていない時にとるべき対策が分かる
では、目次です!
医療的ケアの有無に関わらず「保育の必要性」を満たす必要がある
保育園を利用するためには、障害や病気、医療的ケアの有無に関わらず、保護者が「保育の必要性の事由」に該当する必要があります。
なぜなら保育園は、何らかの事情で家庭で保育ができない子どもを保護者に代わって保育する場所だから。
単に「集団生活をさせてあげたいな~」というだけでは通園できないんですね。
保育の必要性を満たしていない場合は、「児童発達支援事業所」や「幼稚園」が主な通園先になります。
保育の必要性の事由とは、以下の状況いずれかに当てはまっている状況を指します。
ア 就労している(月60時間以上)
イ 妊娠中又は出産後間がない(出産月の前2か月から出産日の後8週間)
ウ 疾病,負傷,障がい等がある
エ 同居の親族(長期入院している親族を含む)を常時介護又は看護している (月60時間以上)
オ 災害等の復旧にあたっている
カ 求職活動をしている
キ 就学している(通信教育は含まない)(月60時間以上)
ク 育児休業取得時に,既に保育を利用している子どもがいて継続利用が必要であること
ケ その他,前各項に類する状態であり福祉事務所長が必要と認める場合
保育園を利用している多くの方は、ア 就労している(月60時間以上)に当てはまるのではないでしょうか。
でも、医療的ケア児を育てながら、「保育園を使用したいと考えた時点で月60時間以上勤務」を満たしている保護者はかなりレアなケースだと思います。
どうすれば「就労」条件を満たせるのか
多くの方にとって、子どもを保育園に預けたい最大の理由は「働きたいから」であると思います。
でも、働くためには安全な「預け先」が必要。
預け先がなければ、求職活動すらままならない…という矛盾。
医療的ケア児の保護者にとって、就労はかなりハードルが高いと言わざるを得ません。
でも、就労条件を満たし、医療的ケア児を保育園に通わせることは可能です!
「月60時間以上の就労」を満たすには
保育園の通園を目指すならば、ア 就労している(月60時間以上)という条件をクリアすることが近道です。
月60時間を満たすには、以下の勤務条件を満たすことを目標にするといいかと思います。
週5日(月~金) 1日あたり3時間勤務
そんな風に思った方もいらっしゃるかもしれませんね。
でも、その一方で、
という方も多くいらっしゃるのではないかと思います。
そんな方のために、子どもの側にいながら1日3時間の就労を叶えるコツを伝授しますね。
「就労」=「外で働くこと」ではない
保育園利用の条件となる「就労」は、会社などに通勤して自宅外で働くことだけを指すのではありません。
自宅内での勤務も当然含まれます。
新型コロナウイルスの影響で多くの企業がリモートワークを推進してきました。
リモートワークにもメリットデメリットがあることは周知の事実ですが、医療的ケア児の保護者にとって「自宅で子どもを見ながら仕事ができる」というのは就労への追い風になると思います。
というか、医療的ケア児の場合、
居宅内勤務 一択
と言ってもいいくらいだと思います。
採用の面接にZOOMを取り入れているところも増えています。
就労条件を満たすために、まずはリモートワークが可能な求人を中心に探してみるのはいかがでしょうか。
就労時間は長いほど有利?
保育園を利用するときには、それぞれの家庭の状況を「ポイント化」して、その点数によって利用の可否が検討されます。
とある政令指定都市の居宅内労働者のポイント表を抜粋します。
分類 | ポイント |
---|---|
1か月の勤務が160時間以上の労働 | 120 |
1か月の勤務が140時間以上160時間未満の労働 | 110 |
1か月の勤務が120時間以上140時間未満の労働 | 100 |
1か月の勤務が100時間以上120時間未満の労働 | 90 |
1か月の勤務が80時間以上100時間未満の労働 | 70 |
1か月の勤務が60時間以上80時間未満の労働 | 50 |
ちなみに、居宅外労働の場合は1か月の勤務が60時間以上80時間未満の労働で100ポイント となりますので、ポイント差は2倍。
労働時間は短いより長い方が、そして居宅内よりは居宅外の方が点数は高くなりますが、ポイントがつかないことには話にならないので、まずは確実に月60時間を目指しましょう。
「求職活動中」で申請することは可能?
保育の必要性の事由、「カ 求職活動をしている」でも利用申請することができますが、私はあまりおすすめしません。
なぜなら、ケア児の保護者にとっては、就労と同じくらいハードルが高いうえ、デメリットも大きいからです。
私も当初は休職中として申請するつもりでいました。保育園が決まって、子どもが預かってもらえるようになってからハローワーク等に通おうと思っていたのです。
でも、以下の話を聞いて得策ではないと感じました。
- 「求職中」は就労中の人に比べて緊急性が低いとみなされる
- 求職中であることを示すために、ハローワーク等の書類が必要
- 求職中で入園した場合、3か月以内に就労して就労証明書を提出する必要がある
求職中と居宅内労働(60~80時間勤務)では、「50ポイント」と点数的には同じです。
でも、緊急性の高さではやはり就労中に軍配が挙がります。
それに、求職活動も「ネットで探してるんです~」レベルではだめで、本気度が伝わる証明が必要です。
それならば、いっそのこと「就労中」の状態を作っておくほうが後々楽ですよ。
まとめ
- 保育園の利用を希望するなら、保育の必要性を満たすことが必要
- 「就労」で申請するために、週5日(月~金)1日あたり3時間勤務を目指す
- 医療的ケア児の保護者は居宅内勤務を目指すのが現実的
- 「求職中」として申請も可能だが、メリットは少ない
「ケアが必要な子を保育園に通わせたいんです~」といきなり役所に相談に行っても、
「でも、今は家で看れてるんでしょ?」ってなるのがオチです。
私も保育の必要性を満たすまでは、不毛なやりとりでメンタル削られてました。
それよりも「保育の必要性」を満たしたうえで、「通園させてもらえないと困る」と、保育園入園が必要な理由をいくつも並べたほうが納得してもらいやすいようでした。
まだまだ、すんなり入園とはいかないことが多い医療的ケア児の通園。
ひとりひとりが希望する通園先を選択できるよう、社会も少しずつ変わっていくといいですよね。