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コーチング

「できない人には言わないよ」が免罪符にならない理由|子どもと関わる大人の寄り添い方

「できない人にはこんなこと言わないよ…」
そんなセリフについて一緒に考えてみましょう!

「できない人には言わないよ」。

こんな言葉を、学校や家庭、習い事の場で耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか?

この言葉には、一見、努力を促すようなポジティブな意図があるように感じます。

でも…、実際にこの言葉を受け取った子どもたちはどのように感じるのでしょうか。

相談に来てくれたあるお子さんは、注意されるたびにこの言葉をかけられていたことから、自信を失い、「この人に自分は期待されていない」と思い込んでしまっていました。

言葉を発した大人側としては、「自信を持たせたい」「自分はできると思ってもらいたい」と思って使っていたのかもしれません。でも、使い方によっては、真逆のメッセージとして伝わってしまうため、子どもの心を傷つけたり、信頼関係を壊したりしてしまう可能性があります。

本記事では、「できない人には言わない」というフレーズの問題点に迫り、子どもの心に寄り添い、信頼関係を築くための大人の役割について考えていきます。

『できない人には言わない』の問題点

言う側にとっての免罪符として用いられる

「できない人には言わない」という言葉で一番深刻な問題になるのは、言う側にとって「免罪符」のように使われがちなところだと私は思います。

全てのケースでそうとは限りませんが、厳しい言葉をかけた後にこのフレーズを添えることで、自分の行動を正当化しているケースもままあるのではないでしょうか。

「私はできない子にはこんなこと言わないよ」

うん、確かにそうなのかもしれない。
でも、だからといって、何を言っても許されるわけではないとも思うんです。

その言葉の前に言われた「こんなこと」の内容に深く傷ついてしまう子もいます。子どもの心にダメージを与えてしまったあとで、「でも、できない人には言わないよ」と言うセリフを被せたとしても、それで子どもは前向きな気持ちをとりもどせるでしょうか。

子どもたちの成長を促すどころか、逆効果にもなりかねないと私は危惧しています。

「できる人」「できない人」と軽々しく判断するリスク

また、もう1つの問題点としては、大人が一方的な視点で「できる人」「できない人」と判断してしまっているところだと思います。

何をもって「できる人」「できない人」と評価されているのか。

できない人には言わないってことは、「できない」と判断されたら見捨てられてしまうのか。

「できる人なら頑張らなければならない」というプレッシャーを感じさせる一方で、期待に応えられなかった場合の失敗の恐れも大きくなってしまうように思われます。

このような状態では信頼関係を築くことは難しいですよね。

言葉の意図が曖昧で子どもが混乱しがち

「できない人にはこんなこと言わないよ」という言葉は、意図が曖昧で、子どもにとって混乱を招く可能性が高いです。

ぱっと聞いただけでは、「できる人」と思われているのか、「できない人」と見なされているのか、子どもは判断できません。それゆえに、大人の言葉の裏にある本当の意図が伝わらず、「期待されているのか、それとも見放されているのか」と不安や疑念を抱く可能性があります。

ポジティブにもネガティブにも取れる、曖昧なメッセージは、子どもの解釈次第で成長の機会になるどころか、逆に自信を喪失させてしまいます。

一部の子どもは「自分には期待されている」と受け取るかもしれませんが、多くの子どもは「自分はできない人だ」とネガティブに解釈するリスクが高いです。

また、曖昧な言葉は、子どもに「大人は自分のことを本気で見ていない」「適当に扱われている」と感じさせることもあります。

大人側からすると、発破をかける意図があったとしても、曖昧な表現はでは伝わらないんですね。子どもは大人の意図を正確に汲み取ることが難しいため、言葉は明確で誠実であることが重要です。

例えば、「あなたならできると思ったから挑戦してほしい」「こうすればもっと良くなるよ」といった具体的な言葉の方が、子どもに安心感を与えつつ、成長への意欲を引き出すことができるのではないでしょうか。

寄り添う大人の関わりとは

「できない人にはこんなこと言わないよ」という曖昧な言葉ではなく、子どもに寄り添い、成長を促すためにはどのように関わるべきなのでしょうか?以下に、具体的なアプローチをいくつかご紹介します。

明確でポジティブな言葉を使う

曖昧な言葉を避け、子どもに期待を伝えるときは具体的でポジティブな表現を心がけること。

  • こうすればもっと良くなるよ!」
  • 「君にはこの部分が得意だから、そこを活かしてみよう。」
  • 「一緒にやれば絶対にできるようになるよ。」

大人からの期待や信頼を感じ取れるような言葉で、「頑張ってみよう」という気持ちを持たせてあげたいですよね!

気持ちを受け止め、共感する

子どもの気持ちを否定せず、「できない」と感じているその心情にまず寄り添います。共感を示すことで、子どもは安心感を得て、大人との信頼関係を深められます。

  • 「できなくて悔しい気持ち、よくわかるよ。でも一緒に考えてみよう。」
  • 「今は難しいって思うかもしれないけど、ちょっとずつやってみよう。」

子どもは「受け止められた」と感じられて、はじめて前に進もうとする気持ちが出てきます。こうした声かけによって、子どもは「自分の気持ちを分かってくれる人がいる」と感じ、心を開きやすくなってくれると思います。

「一緒に考える」という姿勢を持つ

子どもに「君には期待しているから頑張れ」とプレッシャーを与えるのではなく、「どうしたらうまくいくかな?」と共に解決策を探る姿勢を示します。

  • 子どもがミスを繰り返しているとき:「どうすれば次はもっと良くなるか、一緒に考えてみよう!」
  • 子どもが挑戦をためらっているとき:「何か困っていることがある?一緒に解決できることがあれば教えてね。」

「一緒に」という言葉が、子どもに「自分は一人ではない」という安心感を与え、行動への後押しになります!

挑戦した努力を認める

結果だけに注目するのではなく、挑戦したこと自体を評価し、努力を認めることも大切ですよね。

  • 「やってみたことがすごいよ!」
  • 「そのチャレンジをしただけで、もうすごく成長しているね。」

努力をちゃんとわかってるよ、と伝えることで子どもは結果にこだわりすぎず、挑戦する楽しさを感じるようになります。長い目で見るととても大切なことではないでしょうか。

まとめ

「できない人にはこんなこと言わないよ」という一言は、大人にとっては叱咤激励のつもりでも、子どもにとっては混乱や不安、自信喪失を招くリスクがあります。曖昧で一方的な言葉ではなく、子どもの気持ちを理解し、寄り添うことが何よりも大切です。

大人が「どうすれば一緒に成長できるか」を考え、ポジティブな言葉で伝えるだけで、子どもは「自分にもできる」という自信を持ち、挑戦する意欲を取り戻せます。また、小さな成功体験や努力を認めることで、信頼関係を築き、子どもの可能性を広げることができます。

子どもに安心感を与え、未来を切り開く手助けをするのは、私たち大人の大切な役割です。「曖昧な言葉」ではなく、「一緒に考えよう」「挑戦する姿が素晴らしい」という明確で前向きな言葉を選んで、子どもたちの成長を見守っていきましょう。


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