子どもに安心感を与える大人たちの寄り添いの力についてお伝えします!
子どもが「学校がつらい」「行きたくない」と話してきたとき、大人としてどう対応すれば良いのか迷うことがありますよね。
そんな時、子どもの気持ちを受け止めることが大切なんだ!ということが頭では分かっていても、じゃあ、具体的にどう受け止めたらいいの?と悩む方も多いのではないでしょうか。
その答えの1つの例として、小学生の男の子が「学校に行きたくない。もう無理。」と、周りの大人たちに辛さを打ち明けた時、大人たちがかけた言葉があります。
その言葉は男の子に安心感を与え、学校に行こうという気持ちを取り戻すきっかけとなりました。
私もこのエピソードを聞いて、とても素敵な関わりだな!と思ったので、皆さんにシェアしたいと思います。
子どもに安心感を与える大人たちの寄り添いの力が、子どもに与える力の大きさをもっと知っていただけたら嬉しいです!
男の子の状況と「学校がつらい」の背景
その男の子は、新しいクラスになってからというもの、先生やお友達との折り合いがうまく行かず、学校での人間関係に悩みを抱えていました。
前の学年までは学校は男の子にとっては「楽しい」「早く行きたい」と思う場所だったのが、あっというまに「辛い場所」「怖い場所」という認識に変わってしまったのです。
「もう学校には行きたくない」
「でも、行かなきゃ」
そんな葛藤を抱えながらもなんとか学校へ通っていましたが、週明けに体調を崩すことも増えていた様子。
家に帰宅してからも、その日にあった辛い出来事を思い出して涙をこぼし、気分の切り替えもうまくできなかったそうです。そのせいで勉強にも身が入らず、好きだった習い事も休みがちに。空いた時間は部屋でゲームばかりしていたそうです。
そんな中、救いだったのは、その男の子がこうした不安やつらさを正直にご家族に打ち明けられていたこと。そして、男の子は普段から周りの大人たちと雑談するのが好きで、いろんな話を気軽にできる大人の話し相手がいたこと。
学校がつらいと感じる子どもにとっては、「つらい」というそのままの気持ちを聞いてもらえることがとても大切です。
こうしたネガティブな気持ちを伝えるのには、勇気も必要だったことでしょう。でも、男の子はありのままの思いを周りの大人たちに伝えていました。
これは、日頃から相手との信頼関係が築かれていたからこそだと思います。
この話を聞いた大人たちは、どんなふうに男の子の気持ちを受け止めたのでしょうか。
周りの大人たちの対応と提案
歯科の先生の言葉に思わず笑顔
最初に男の子の話を聞いたのは、ずっとお世話になっていた小児歯科の先生。
歯の検査をする前に大きなため息をついた男の子に、先生は「ため息ついちゃって、どうしたの?」と聞いてくれたそうです。男の子は、そこで答えました。「もう学校へ行きたくないんだ。苦手な歯の治療よりも、学校の方が10000倍嫌だ」と。
それを聞いた歯科の先生は「う〜ん、そっかぁ」と、腕組みをして考えた後、男の子にこう答えました。
「〇〇君がそんなふうに言うなんて、よっぽどだね。あのさ、もしもどうしても無理ってなって、学校を休むことになったらここに来ていいよ。先生のお仕事、手伝ってよ!」
男の子は「いいの?!」とびっくり。
「どうしても学校が無理って時は、社会のお勉強でお仕事をしてみてもいいと思うんだ。患者さんのお名前呼んだり、カメラ持ってきたりとかさ。まあ、先生は病院からも学校からもめちゃくちゃ怒られるだろうけど笑」
先生の言葉に笑顔になった男の子。
「それやってみたい!もし学校休むってなったら先生に言うね!」と嬉しそうに話し、治療を終えて帰宅したそうです。
男の子の周りの大人たちが口を揃えて言ったこと
歯科の先生の対応に心が救われた気持ちになった、男の子とお母さん。暗かった心に小さな灯りが灯ったように感じたようです。
それから数日たって、今度は親子で月に1度のリハビリに行ってきたそうです。
「最近はどう?」と聞かれ、男の子はリハビリの療法士にも同じように学校の辛さを訴えました。付き合いの長い間柄だったこともあるのか、辛い気持ちを話しながらポロポロと泣いてしまったそうです。
療法士は話を聞き終わった後、こんなふうに言ってくれたそうです。
「そっかぁ、〇〇君、よく頑張ったんだね。今、学校が辛いって気持ちはほんとによくわかったよ。もしそれで、どうしても無理だってなったら学校を少しお休みしてもいいかもしれないね。よかったらだけど、その時は先生の学校にも来てみる?(療法士さんは養成校の教官もしています)お手伝いして欲しいなぁ。」
男の子はそれを聞いて、「いいよ!学校のお手伝いする!」と涙を拭いて元気に答えたそうです。後ろでこのやりとりを聞いていたお母さんは、歯科の先生と、リハビリの療法士のやり取りに、とても驚いたそうです。
「学校に行け、なんて一言も言わず、受け入れてくれたのに、本当に救われました」と。
が、話はこれだけで終わりませんでした。
男の子の習い事の先生や訪問診療の先生までもが、「どうしても無理だったら、ここに来ていいからね」と同じように言ってくれたそうです。
もちろん、男の子に声をかけてくれた大人同士に面識はありません。それなのに、口を揃えて同じように言ってくれたのです。
男の子の心を支えた対応
私はこの話を聞いて、男の子の周りの大人たちの対応に感動しました。
誰一人、男の子の言い分や思いを否定していないのです。
否定もなく、大人視点でのジャッジもなく、「学校は行くべき」との押し付けもなく、ただ、一つの選択肢としての学校以外の居場所を提案しただけ。
きっと普段から、その男の子に限らず子どもたちを安心させるような関わりをされているのだろうな、感じました。
男の子の心に変化が・・・
周りの大人たちからこのような提案を受けた男の子は、「学校が無理でも自分には居場所がある」と感じることができたようです。
「自分の気持ちをわかってくれる大人がこんなにいる」という実感が、彼の心を軽くしたのだと思います。
結果として、男の子は再び学校に行く気持ちを取り戻しました。学校だけがすべてではない、他の選択肢があるという考えが、彼の中で新たな自信となったのでしょう。
寄り添う大人たちの力とその重要性
このエピソードは、子どもが不安や困難を抱えたときに周りの大人が寄り添うことで、その後の子どもの行動を、ひいては子どもの未来を大きく変える可能性があることを教えてくれています。
今回も、結果として大人たちの関わりによって、男の子の不登校のタネをなくすことができています。
辛い思いを抱えている子どもにとっては、「無理しなくてもいい」「ここにも居場所がある」と安心感を感じられるだけでも、心が救われることがあります。
だからこそ、周りの大人たちが子どものサポーターとなり、支える関係を築くことが大切でではないでしょうか。
まとめ
子どもが「学校がつらい」などの心の悩みを話してくれたときに私たちにできることは、まずは否定せずに気持ちを受け止めることだと思います。そして、子どもの居場所(物理的なものに限らず)を作ってあげることで、子どもは安心感を得て、前向きな気持ちを取り戻すことができます。
たった一人でも、安心感を与えてあげられる大人が周りにいたら、子どもたちはもっと救われた気持ちになるかもしれません。
あなたも、そんな子どもたちに「大丈夫だよ。そんな時はここにおいでね」と言える存在になりませんか?
子どもに寄り添い、居場所を提供することは、大人として大きな役割です。
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