斜視とは片方の目が目標と違う方向を向く状態のことを言います。
たとえば、まっすぐ前を見ているのに、片目の位置が正面を向いていないような状態ですね。
子どもの2%くらいにみられ、症状や経過は個人差が大きい病気です。
斜視の手術自体は比較的簡単で、短時間で終わると言われますが、子どもの手術となると全身麻酔。
もともと、呼吸器が万全ではない医療的ケア児ならではの不安もありますし、目にメスを入れるという気持ち的なハードルの高さもあって、やっぱり不安でした。
自然に治るものなら、手術は避けたい!と思っていたのですが、年齢と共に斜視の症状が進んでしまったので、私たちはやむなく手術を受けることになりました。
もし、これから斜視の手術を検討されている方がこの記事を読んで下さっているのだとしたら、同じように不安な気持ちもあるんじゃないかなと思います。
息子の斜視の手術前後の体験が、少しでもお役に立てば…と、私たちの体験談をシリーズで紹介したいと思います。
本記事の内容
- 小学校入学前に斜視の手術を行うべき理由が分かる
- 手術の時期を決めるのに考慮しておきたいことが分かる
- 斜視の手術入院までにしておくことが分かる
では、目次です!
斜視の手術、するなら小学校入学前!の理由
- 美容的問題
- 両眼視の獲得
- 目にかかる負担を考慮
うちの息子は、赤ちゃんの頃は斜視はなかったのですが、1~2歳ごろから何となく視線のずれを感じるようになりました。
小児科の検診では、
「小さいうちは検査ができない」
「自然に治ることもある」
と言われたので、成長と共に治っていくんだろう…と私も楽観的にとらえてました。
というのは、息子は間欠性斜視だったので、なにか(会話とか)に集中している状態ではあまり斜視は出なかったんですね。
- 恒常性斜視:いつも斜視の状態
- 間欠性斜視:斜視になったり、ならなかったり
ただ、年齢と共に、写真撮影の時に片方の視線がずれているものが増えてきたり、お友達に「目が違う方を見てるよ」と言われたりすることもあり…、客観的には斜視が目立つようになっていきました。
眼科では、外来で2年間斜視の経過をみてもらっていましたが、その間に息子の斜視は間欠性斜視から恒常性斜視へと進行していったようです。
医師からはいずれ手術するのなら小学校入学前に手術しておいた方がいいだろうと言われました。
その理由は3つありました。
美容的(見た目)問題
息子は斜視の角度が大きい(30度以上)ので、斜視の状態になっている時はけっこう黒目が外側を向いた状態になります。
小学校になれば、これまでよりもたくさんの子どもたちと出会うことになり、中には好奇心で斜視を指摘してくる子もいるかもしれません。
悪気なく、斜視をからかってくる子もいるかもしれません。
自分の写真を見て、目の位置がずれていることにコンプレックスを抱いてしまうかもしれません。
そんな事態を避けるためにも、小学校入学前に見た目を整えてあげる方が本人にとってもストレスが少ないのではないかということでした。
両眼視の獲得が不十分だった
息子の場合、斜視があっても左右の目で交互に焦点を合わせて物を見ていたので、視力自体は正常に発達していました。
入院直前の検査でも、視力は左右1.2でほっとしたのですが、
両眼視の検査、全滅!で私は愕然としました。
「ラングステレオテスト」と言って、両眼視できていれば砂嵐中から隠れている絵が立体的に浮かび上がるというテストをやってみたのですが、
私には見える図形が息子には1つも見えていないのです!
両眼視ができないと、立体感が分かりづらかったり、対象物がダブって見えたりします。
段差に躓いたり、細かい手作業が苦手な子も多いようですね。
この立体視は通常6歳くらいまでに完成するとのことです。
目にかかる負担を考慮
小学校に入ると、一日に何時間も黒板を見つめて授業を受けることになります。
体育の授業では飛んでくるボールをキャッチしたり、平均台の上を歩いたりといったこともあるでしょう。
本を読んだり、家で宿題をしたり、今よりも目を使うことが多くなり、本人に負担もかかります。
そうした負担を考慮するならば、小学校入学前に斜視を治しておくほうが負担が少なく済むかもしれません。
手術を決心したら。入院時期はいつがいい?
- 術後1か月に大きなイベントが控えていない時期
- 体調管理をしやすい時期
医師の説明を聞いて、やはり斜視の手術を受けたほうが息子のためになりそうだ…と思った私たちは、手術を行うことを決心しました。
その上で問題になるのが手術の時期。
術後1か月は注意が必要
息子が通っていた大学病院では斜視の手術は2泊3日と、入院期間は短めです。
でも、斜視の術後は、
- 2週間程度は目の充血が続く
- 術後1か月は外あそび(保育園等)禁止
と言われています。
術後に目にばい菌が入って感染するリスクを考えると、術後1か月は大きなイベントは控えたほうが良さそう。
特に、後で見直す可能性がある「記念撮影」を伴う行事(七五三や卒園式など)は、充血が治まる時期のほうがいいかもしれませんね。
術前の体調管理は重要
小さな手術でも、体にかかる負担は大きくなる場合があります。
風邪をひいたり、熱を出したりといった、ちょっとした体調不良でも手術ができなくなることがあります。
私たちは、感染症にかかりやすい冬の時期を避けて手術を受けることにしました。
手術入院までにしておくこと
- ぐらぐらする歯は抜いておく
- 体調管理表の記入
息子の場合は手術入院1か月前に術前検査があったのですが、その時に入院前に準備しておくことについても伝えられました。
ぐらぐらする乳歯は抜いておく
これは、手術で挿管が必要になった時に、歯が管にあたって抜けて誤嚥するのを防ぐためです。
気管切開をしている息子の場合、麻酔はカニューレにつないで行いますが、万が一挿管をするときに備えての準備です。
術前の検査を受けたときは、ちょうど生え変わりの時期でグラグラしている歯は3本もありました。
歯科では「全部抜きますか~?」と言われましたが、麻酔科では「もう取れかかってるこの1本だけでいいよ」と言われたので、後日かかりつけの歯科で抜歯。
麻酔もなしでささっと抜かれたようで、息子は「バキっていった…」とショックを受けておりました。
ちなみに、抜歯する場合は遅くとも手術の1週間前までには済ませておいてほしいとのことでした。
体調管理表の記入
これは、コロナ禍だからということもあるでしょうが、入院2週間前から毎日、体調管理表へ体温や風邪症状の有無を記入させられました。
これは、息子だけじゃなく、付き添いの親の分も必要です。
でも、入院する時にはなぜか提出を求められなかったんですよね~。
忘れてただけ?
まとめ
- 斜視の程度が大きい場合、小学校入学前に手術するのも選択肢の一つ
- 予定入院なので、入院時期は家族で検討
- 入院前に抜歯などが必要な場合は早めに予約しておく
斜視の手術を小学校入学前に行った息子の、手術決定から入院準備までを紹介しました。
次は入院から手術までを紹介する予定です。